霜柱標本室

佐倉誰と仲井澪の公開交換日記です。日記と短歌です。最低ひと月に一往復を目安に更新します。

2024.3.15〜2024.4.22

佐倉誰 2024.3.15 春はたましいが太る。春は、というか、季節の変わり目はたいてい気持ちが昂って仕方ない。雲より飛行機よりはやく空を駆け回りたくなる。冬から春に移り変わるときのなまぬるい風の匂いは、とりわけ獰猛さを孕んでいて好きだ。容赦なく雪が…

2024.1.23〜2024.3.10

佐倉誰 2024.1.23 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。元旦は能登の地震と全く関係なく沈鬱な空気でしたがおせちを食べて、腕と箸を伸ばせるだけ伸ばして黒豆をつまみながら「遠くの豆やなますを」(a.k.a服部真里子)と内心つぶや…

2023.12.23〜2023.12.30

佐倉誰 2023.12.23ミスタードーナツの看板の英字が点灯する瞬間を見れたのでこころが少し上を向きました。日記を書きます。 暴力のことを絶えず考える日々が続いている。自分が消費側に立っているとき、生産者の罪は「消費者がこれまで享受してきたものと矛…

2023.10.21〜2023.11.9

佐倉誰 2023.10.21本当にご無沙汰しています。前回の仲井澪への応答として、毎月更新は義務ではないのでのんびりやりましょう、の表明のために少し日をあけて書くつもりが、今度は私が書けなくなりました。夏の間、東京ですこし働いて、10月に札幌に戻って来…

2023.5.8〜2023.6.13 (八往復め)

佐倉誰 2023.5.8今月入ってからこっち、日記を書こうと思ってスマホのメモ帳に書き留めていたことは色々あるのですが、形にできないまま何日か経過して機を逸してしまう……ことの連続でした。簡単に振り返りつつ書きます。♢・5/2カリフォルニア檸檬さん主催の…

2023.4.10〜2023.4.29(七往復め)

佐倉誰 2023.4.10お互い新生活が始まって一週間が経ちましたが、いかがお過ごしでしょうか。今日は特に思い出になりそうな一日でしたが、今はまだ開示しきれないので一旦箇条書きに留めておきますね。忘れないように。時間が経ったらもう少し書くかもしれま…

2023.3.7〜2023.3.30(六往復め)

佐倉誰 2023.3.7そのまま書いては芸がない。のだけれど、過剰に演出してもしらけてしまうし、正直すぎても引いてしまうし、当たり障りがなさすぎてもわざわざ読んでくださっている方になにもご提供できていない気がして申し訳ないし……などと、日記に関してぐ…

2023.2.2〜2023.3.1(五往復め)

佐倉誰 2023.2.2二月。私の誕生日も近い。寒い土地の真冬に生まれた私は空気が凍てつくほど綺麗になる、と自分で思い込んでいる。冷たい空気と一面真っ白な視界は清潔で、その真ん中に立っている自分まで存在が澄んでいくように感じるから。雪もお砂糖の粒も…

2023.1.4〜2023.1.18(四往復め)

佐倉誰 2023.1.4明けましておめでとうございます。初日記です。年末年始はひどい空気の中で過ごし、日記に書けるようなことが本当に何もないので、とりとめのない自己開示を並べます。 ・子どもの頃から、満腹のときとお風呂から上がったとき、心臓がぎゅー…

2022.12.1〜12.26(三往復め)

佐倉誰 2022.12.1泣いたあとに深夜のキッチンで食べる杏仁豆腐おいしすぎる とツイートしようとして、やっぱり日記にしよう、と踏みとどまってこちらに書いています。前回から食べ物の話が連続してしまってすみません、私は食べることに特別な感情があるんで…

2022.11.22〜11.30(二往復め)

佐倉誰 2022.11.22 イヤホンをつけていると、嗅覚がにぶる気がしませんか。嗅覚だけでなく、同じ景色に同じ彩度でも、音楽を聴いているか否かで、全然別の景色のように感じます。私は世界が見えすぎているとこわいので去年までほぼ裸眼で生活していたのです…

2022.11.16〜11.21(一往復め)

佐倉誰 2022.11.16北海道に住んでいます。東京のプラネタリウムで働きたい、と閃いたのは3週間前のことです。でも特に星は好きじゃありません。自分を構成するものから遠く離れて、なにか綺麗なものを黙ってじっと見ていられたら、という願望があったからそ…